高校留学をし、海外の高校を卒業した後は、そのままその国の大学やカレッジに進学する人もいれば、日本の大学に進学したいと思う人もいます。
この記事では、日本に帰国して海外修学経験者を対象とした帰国生受験をする方のための情報(条件や必要な英語力など)をまとめてみました。
帰国入試の受験資格
大学および同じ大学でも学部によって異なりますが、一般的には次の条件となります。
- 12年間の学校教育を修了または修了見込みの者
- オセアニアは12月に卒業するので期間の確認が必要
- 北米でも、生まれる月によって日本と学年が異なるので注意が必要
- 飛び級しているときは確認が必要
- 外国の高校で、正規の教育課程に基づく教育を2年以上受けた者
- 一般的には2年以上
- 1年半あるいは1年で認める大学もある
- 逆に3年間という場合もある
- 学力の証明(一般的に使われているもの)
- 英語力の証明の例
- TOEFL
- TOEIC
- IELTS
- 英検
- 国連英検
- 大学入試資格試験または統一試験
- SAT、ACT(アメリカ)
- Aレベル(イギリス)
- HSC、VCE、UAI(オーストラリア)
- NCEA(ニュージーランド)
- 州政府発行の証明書(カナダ)
- IB(インターナショナル・バカロレア)
- 英語力の証明の例
ちなみに、卒業見込みで受験をする場合、統一試験の日程が受験よりも後になる場合があります。この場合、大学によってはその国の統一試験の代わりにSATやACTを提出するようにいわれる場合があります。あるいは、受験して合格した後に、入学手続の一環で統一試験の結果を提出するようにいわれる場合もあります。
帰国入試の試験の種類
- 帰国生入試(私費留学での海外就学者も含む)
- 帰国子女入試(親の転勤に伴う海外就学者のみが対象)
- AO入試
基本的には上記に挙げた3つの試験が、海外で高校留学をしていた帰国生が受けることが多いものです。これ以外にもグローバル入試といった形式の試験もあったりしますが、基本的にはAO入試とほとんど違いがなくなってきました。
帰国入試の出願準備
大学および同じ大学でも学部によって異なりますが、一般的には次のようになります。
- 基本的なスケジュール
早めに 志望校のチェック 昨年の受験要項で受験資格(英語力や海外滞在期間)や必要な出願書類などを確認しておく 5月~7月 入試要項入手 今年度の入試日程、出願書類、締め切りを確認し、出願書類(卒業証明書、成績証明書、在籍証明書等)を準備する 6月~7月 受験大学・学部の絞り込み 入試日程が重複してしまうこともあるので注意する 7月~ 出願および試験開始 - 英語力の試験は提出が間に合うように早めに準備することが必要
- アメリカやカナダなど、5~6月に卒業する場合は、卒業までの成績すべてを提出するので、最後まで気を抜かないで良い成績を残せるようにすることが必要
- ニュージーランドやオーストラリアなど、12月に卒業する場合は、高校に在籍して授業を受けながら、入試日程に合わせて一時帰国しないといけないので、早めの準備が必要
- 4月入学だけではなく、9月入学ができる大学もある
- 出願書類
- 大学および同じ大学でも学部によって異なる
- 一般的な出願書類の例
- 入学願書
- 高校の卒業証明書または卒業見込み証明書
- 高校の成績証明書
- 高校の在学証明書
- 大学入試資格試験または統一試験の結果に関する証明
- SAT、ACT、TOEFLなどのスコア
- 推薦状
※英語力の証明の提出が不要な大学もあります。また、大学入試資格試験または統一試験ではなくて、学校が発行する修了証で、高校卒業資格と認めてくれる大学もあります。
帰国入試の試験
- 試験の種類
- 大学および同じ大学でも学部によって異なる
- 一般的な試験の例
- 書類審査
- 国語の筆記試験
- 英語の筆記試験
- 学部に応じた数学や理科の筆記試験
- 小論文(エッセイ)
- 面接
- 面接の対策
- 1対1の面接の場合と、グループ面接の場合があります。また、日本語のみで質問する場合と、日本語および英語を混ぜて質問される場合があります。質問される内容は用意されたものの場合もありますが、質問した内容の回答により、その回答に対してさらに質問がされる場合が多いため、このように質問されたら、このように答えようと、いろいろなパターンを想定して、いろいろな質問に答えられるように準備しておくといいでしょう。
- 面接における質問内容の例
- 大学およびその学部への志望動機
- 大学ではなにをしたいのか
- なぜ日本の大学を希望するのか
- 併願学部や併願する大学について
- 小論文の内容についての具体的な質問
- 大学卒業後の予定、将来の展望や希望
- 最近読んだ本、最近印象に残った本、その本のどんな主張に共感したか
- なぜ留学をしようと思ったのか
- 滞在国と日本の違い(志望学部に絡めた問題)、滞在国から見た日本について
- 高校時代に特に頑張ったこと、クラブ活動について、社会活動(ボランティア)について
- 現地での日本語学習について
- 海外生活の良かったところ、貴重な体験とは?
- 滞在国での学校、教育制度、社会、価値観の違いについて
帰国入試に必要な英語力
大学および同じ大学でも学部によって異なります。受験資格となる英語力の基準は最低ラインのため、出願できるということであり、これがあれば合格できるというわけではありません。
- 必要な英語力の例(2022年度)
- 【上智大学の例】
文学部英文学科: TOEFL 72、TOEIC LR 785 & TOEIC SW 310、英検準1級、IELTS 5.5
総合人間科学部心理学科: TOEFL 72、TOEIC LR 785 & TOEIC SW 310、英検準1級、IELTS 5.5
理工学部情報理工学科: TOEFL 42、TOEIC LR 550 & TOEIC SW 240、英検2級、IELTS 4.0 - 【中央大学の例】
経済学部: TOEFL IBT 61、TOEIC LR & SW 合計940、英検2級、IELTS 5.0 - 【明治大学の例】
法学部: TOEFL IBT 61 - 【早稲田大学の例】
社会科学部: Band 1-TOEFL 95、IELTS 7.0; Band 2-TOEFL 72~94、IELTS 5.5~6.5
- 【上智大学の例】
- 英語の勉強方法
- 帰国生は、会話力はあるけれども、文法的に間違いのない正確な文章を書く力と、複雑な構文で書かれた英文を正しく日本語にする力がないという場合が多いです。これらは、意識して勉強しないと身に付かないスキルですので、こういったスキルを習得するような勉強をするようにしましょう。
帰国生受験の準備
海外の高校で勉強をしながら、日本の大学受験の勉強をするのは大変です。とはいえ、帰国生受験の場合は、受験する科目が少ないことが多いです。このため、志望校の受験資格や試験の内容を調べて、試験にあわせた対策を早めに始めましょう。
選考方法は、第一次が書類審査、第二次が面接や試験という形式が多いようです。第二次選考での試験内容は、英文のエッセイ、日本語の小論文、英語・理科・数学などの学部に関係のある筆記試験などとなります。
最近は予備校などで、帰国生受験の対策コースを提供しています。夏季休暇で一時帰国をしているときに帰国生受験の対策クラスを受講したり、通信教育やオンラインでの学習などを利用して、受験対策をするといいでしょう。
また、各大学では夏ごろにオープンキャンパスを実施します。夏季休暇や学期間の休暇で一時帰国する時期にオープンキャンパスが開催されるようであれば、是非参加してみましょう。
現地校での科目の選択
将来、どの大学を受験したいというより、どの学部に進学したいということを考えて、科目の選択をする必要があります。海外は高校の科目が自由に選択できる場合が多いので、大学受験に必要な科目を調べて、必要な科目を履修するようにする必要があります。
なるべく、高校2年生の科目を履修登録するまでには大学での専攻を決めておき、それに基づいて科目を選択するようにするといいでしょう。
学部によっては高校で履修しないといけない科目が指定されている場合もあります。志望校の受験資格や試験の内容を調べて、早めに準備を始めましょう。