留学を希望する大学生や高校生を対象に、返済不要な奨学金を提供してきた「トビタテ!留学JAPAN」。
文部科学省が行っているこの事業は、2020年度までの事業が一旦終了となり、新たなビジョンで「トビタテ!留学JAPAN 新・日本代表プログラム」が実施されることになりました。今回は、2023年から2027年までの5年間で、大学生は1,000名、高校生は4,000名に留学のための奨学金を支給し、グローバルリーダーの育成を目指すとのことです。
ここでは、これまでの経緯や2023年度の新しい日本代表プログラムの内容について、まとめてみました。
トビタテ!留学JAPANとは? これまでの経緯
トビタテ!留学JAPANとは、文部科学省の主導のもと、意欲と能力ある日本の若者の海外留学を後押しする目的で始まった留学のための奨学金制度です。応募をして合格すると、留学のための奨学金が給付されます。この奨学金は返済不要となっています。
トビタテ!留学JAPANが開始されたのは、文部科学省が2013年に開始した留学促進キャンペーンです。この主な取り組みとしてその翌年の2014年にスタートしたのが官民協働海外留学支援制度の「トビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラム」です。この取り組みは2020年までとなっていましたが、2020年度はコロナの影響により、前年度費98%減となるなど、大きな影響を受けました。
その後、文部科学省は2022年7月に「高等教育を軸としたグローバル政策の方向性~コロナ禍で激減した学生交流の回復に向けて~」において、コロナ禍で落ち込んだ日本人の留学数を2027年度までに少なくともコロナ前の水準に回復することを目指し、産学官あげてのグローバル人材育成の取り組みを強化する方針を発表しました。
これを受けて、2023年から2027年までの5年間、トビタテ!JAPANが新しいビジョンの基で「トビタテ!留学JAPAN 新・日本代表プログラム」が実施されることになりました。
トビタテ!留学JAPANの新たなビジョン
トビタテ!留学JAPANでは、新たに以下のビジョンとコンセプトがつくられました。
トビタテ!留学JAPANの新たなビジョン
「日本の若者が世界に挑み、“本音と本気”で国内外の人々と協働し、創造と変革を起こす社会」
トビタテ!留学JAPANの新たなコンセプト
Challenge, Connect, Co-create
Challenge
若者の海外への挑戦をオールジャパンで応援する。
Connect
トビタテ生同士を繋げ、多様な若者が繋がるコミュニティを形成する。
トビタテ生が海外のネットワークと繋がる。
トビタテコミュニティと志を同じくするステークホルダーを繋げる。
Co-create
協働して次期事業を創り上げ、留学機運を再醸成する。
協働プロジェクトを創出し、社会に創造と変革を起こす。
価値イノベーション人材のロールモデルを輩出する。
トビタテ!留学JAPANの3つの柱
トビタテ!留学JAPANでは、以下の3事業に取り組み、コロナ禍で激減した日本人留学生数をコロナ前の水準にいち早く回復することを目指し留学機運の再醸成に努め、新たな“グローバルリーダー”、社会に対してインパクトを生む人材を輩出するという目標を達成していくことが予定されています。
新・日本代表プログラム
民間寄附による留学支援制度「日本代表プログラム」後継事業として、「自ら社会に変革を起こしていくグローバルリーダー」(大学)や「社会(地域)にイノベーションを起こすグローバル探究リーダー」(高校)を育成する新たなプログラムをスタート。より若い時期からの海外経験を将来の留学につなげるため、高校段階からの留学の機運醸成・支援を強化します。
留学プラットフォーム
留学支援の取組を可視化することでより多くの主体が支援に取り組む状況を目指し、留学支援者相互及び留学希望者との架け橋を築き、トビタテが持っているノウハウを提供することにより、関係者のネットワークを活用した留学機運醸成を図ります。
価値イノベーション人材ネットワーク
多様な海外体験をした人材の成長を加速する組織やセクターを越えたネットワークを築き、トビタテコミュニティの更なる活性化を図り、国内外の多様なステークホルダーとの協働を促進します。
新・日本代表プログラムの内容
新・日本代表プログラムの目的
新・日本代表プログラムでは、以下の目標を掲げています。
- 日本の未来を創る“グローバルリーダー像”と留学を通じた学びを刷新し、日本の社会課題解決や産業創造に貢献する人材の育成を行う
- 5年間で5,000名程度の学生・生徒に経済的支援を中心とした留学支援を行い、留学機会を創出する事を通じて、日本の留学機運を再度盛り上げる
- 新たな留学のあり方(ロールモデル)を社会に提示し、日本全体の留学のアップデートを図る
大学生等対象の奨学生募集について
日本代表プログラム 大学生等コースの概要
以下の3つのコースを設け、留学を通じて得たものを社会に還元し、「自ら社会に変革を起こしていくグローバルリーダー」を5年間で1,000名輩出します。
学生の関心に基づく実践的な海外での学びを支援し、若者の世界での活躍を促進し、国際頭脳循環を活性化します。
また、多様な興味関心に基づく留学を支援するコース設定と多様な人材へ留学機会を提供することにより、将来的に社会に自ら変革を起こしていくグローバルリーダーを育成し、既存の概念にとらわれず自ら行動を起こし、新たな価値を生み出していく精神(アントレプレナーシップ)を醸成します。
- イノベーターコース
- STEAMコース
- ダイバーシティコース
目指す人材像とは?
- 留学を通じて得たものを社会に還元し、「自ら社会に変革を起こしていくグローバルリーダー」
- 新たな課題発見・解決や、新たな技術の獲得・能力の向上等に意欲的にチャレンジする人材
- 柔軟な姿勢で周囲と協働しながら日本及び世界の課題解決に取り組み、世界を牽引していく人材
- 様々な困難や変化に対し、既存の概念に捉われず自ら行動を起こし、新たな価値を生み出していく精神(アントレプレナーシップ)を有する人材
2023年度(第15期)派遣留学生募集要項 大学生等対象
募集コース・支援予定人数
コース | 支援予定人数 | 支援する留学計画 |
イノベーターコース | 50名 | 自ら課題を設定し、解決に向けて新たな知識や技術の獲得、能力の向上を目指す等、試行錯誤を繰り返し、独自の構想力をもって既存の枠組みを超えた新たな価値を創造しようとする(ゼロをイチにする)挑戦的な留学計画 |
STEAM コース | 100名 | 日本及び世界の社会課題解決のための技術革新や新産業創出に貢献する STEAM(Science、Technology、Engineering、Art、Mathematics)領域における留学計画 <留学分野例> 1.環境・エネルギー分野 2.ライフサイエンス分野 3.ナノテクノロジー・材料分野 4.情報通信分野 5.社会技術・社会基盤分野 ※例示以外の量子コンピューティング等の先端技術分野や融合系分野等の留学計画であっても応募可能です。 |
ダイバーシティコース | 100名 | 派遣留学生の専門領域における課題解決に取り組む留学 計画。スポーツ、芸術、人文学、社会科学、総合知領域 等を含む多様な領域の留学計画を支援します。 |
また、早期の留学や多様な学生等の留学を支援することを目的として、「大学1年生枠」が設置されます。支援予定人数全体の1割程度が「大学1年生枠」となります。
支給内容と支給金額
支援内容 | 留学先国・地域 | 支援金額(家計基準内) | 支援金額(家計基準外) |
奨学金(月額) | 北米、シンガポール、欧州、中近東 | 160,000 円 | 60,000 円 |
アジア、大洋州、中南米、アフリカ、上記以外 | 120,000 円 | ||
留学準備金 | アジア | 150,000 円 | |
その他の地域 | 250,000 円 | ||
授業料 | すべての地域 | 300,000 円 |
応募資格
- 日本国籍を有する者又は応募時までに日本への永住が許可されている者
- 本制度で実施する事前・事後研修に参加する意思を表明した者、また、派遣留学生ネットワーク(留学機運醸成のための活動、支援企業等に対する留学計画や活動報告・成果等の情報の提供を含む。)に参加する意思を表明した者
- 在籍大学等において、卒業又は学位取得を目的とした課程に在籍する者
- 在籍大学等が派遣を許可し、受入れ機関が受入れを許可する者
- 機構が実施する国内の奨学金「第二種奨学金」に掲げる家計基準を満たす者
※ただし、家計基準を超える場合であっても応募することができます。多様な留学計画の支援という観点から、支援予定人数全体の1割程度を上限に、家計基準を満たす者とみなして採用します。 - 留学に必要な査証を確実に取得し得る者
- 留学終了後、日本の在籍大学等で学業を継続する意欲のある者、卒業しようとする又は学位を取得しようとする者
※留学期間中は在籍大学等に在籍している必要があります。 - 2023年4月1日時点の年齢が30歳以下である者
- 留学中に行うインターンシップ等の報酬や他団体等から留学のための奨学金を受ける場合は、その平均月額(総額を留学期間の月数で除した金額)が、本制度による奨学金月額を超
えない者 - 過去に「官民協働海外留学支援制度~トビタテ!留学 JAPAN 日本代表プログラム~」(以下、「旧制度」という。)の派遣留学生として採用されていない者
- トビタテ!留学 JAPAN 新・日本代表プログラム【高校生等対象】(第8期)に応募していない者
スケジュール
2023年度 大学1年生以外 | 2023年度 大学1年生枠 | |
応募者から在籍大学等への応募申請期間 | 在籍大学等が指定する期間 | |
在籍大学等から機構への応募申請開始時期 | 2023 年2月予定 | 2023 年4月3日(月) |
在籍大学等から機構への応募申請期限 | 2023 年2月 28 日(火) | 2023 年4月 26 日(水) |
書面審査結果の通知 | 2023 年4月 20 日(木)予定 | 2023 年5月 17 日(水)予定 |
面接審査 | 2023 年5月 20 日(土)、21 日(日)東京 | 2023 年5月 27 日(土)、28 日(日)東京 |
採否結果の通知 | 2023 年6月 27 日(火)予定 | |
採用者の手続き | 採用決定後に詳細を通知 | |
壮行会 | 2023 年7 月 16 日(日)東京 | |
事前研修 (いずれかの日程で出席必須) | 2023 年7月 22 日(土)、23 日(日) 2023 年7月 29 日(土)、30 日(日) 2023 年7月 31 日(月)、8月1日(火) 2023 年8月 19 日(土)、20 日(日) | |
留学開始日 | 2023 年8月1日(火)~2024 年3月 31 日(日)まで | |
事後研修(出席必須) | 留学終了月から1年以内に参加すること。 日程は参加者決定後に通知 | |
留学状況報告書(提出必須) | 事後研修参加から1か月以内 |
詳しくは、「トビタテ!留学JAPAN 新・日本代表プログラム【大学生等対象】第15期募集」でご確認ください。
高校生等対象の奨学生募集について
日本代表プログラム 高校生等コースの概要
以下の3つのコースを設け、国境を越えた探究活動を通じて得たものを社会に還元し、拠点形成支援型と合わせて「社会(地域)にイノベーションを起こすグローバル探究リーダー」を5年間で4,000名輩出します。
「探究型留学」という留学モデルの創出を行います。
SDGsの達成やSociety5.0の実現に向けて、異分野・異文化の人々と共創し、グローバルな視野と創造力や発想力をもって、社会課題や未来課題の解決に主体的に取り組み、社会にイノベーションを起こせる人材を育成します。
「地域応援枠」を新たに設け、どの都道府県にもロールモデルが毎年誕生する状態を創出します。
- マイ探究コース
- 社会探究コース
- スポーツ・芸術探究コース
初年度の募集人数 | 700名(予定) |
初年度の募集期間 | 2022年10月~2023年1月(予定) ※新高校1年生は2023年4月(予定) ※申請受付の開始は12月予定 |
対象となる留学期間 | 2023年7月以降の留学 |
目指す人材像とは?
- 国境を越えた探究活動を通じて得たものを社会に還元し、「社会にイノベーションを起こすグローバル探究リーダー」
- 自己のあり方生き方を考え、持続可能な未来の創り手として探究を深め、自ら課題を発見し解決できる資質を持った人材
- 好奇心を原動力として、固定概念にとらわれない自由な発想で新たな価値を創造するマインドを有する人材
- 失敗を恐れずに、未知の領域に試行錯誤しながら挑戦し続ける人材
- 自らリーダーシップを発揮し、異分野・異文化の人々と共創し、世界で活躍しようとし又は日本や世界のために貢献する人材
2023年度(第8期)派遣留学生募集要項 高校生等対象
詳しくは、「トビタテ!留学JAPAN 新・日本代表プログラム【高校生等対象】第8期奨学生」でご確認ください。
トビタテ!留学JAPANのサイト
詳細については、文部科学省が実施している「トビタテ!留学JAPAN」のウェブサイトをチェックしてみましょう!
文部科学省が実施している「トビタテ!留学JAPAN」のウェブサイトは以下をクリック!